「生きづらいのは貴方のせいじゃない」~Quilombo 逃亡奴隷の街~

Racionais MC’sというブラジルのアーティストのドキュメンタリーを見た。

70年代80年代の軍事政権下のブラジル。苛烈な人種差別による壮絶な黒人弾圧。
黒人というだけで理由もなく殺される。人口比率で黒人が増加しているから
といって黒人の出生率をコントロールしようとする。
考えられない犯罪行為。300年にわたる奴隷制の延長にある不条理極まりない
白人至上主義。

Racionais MC’sは過激で直接的な言葉を歌詞に乗せて歌った。
ブラジルのスラム街、ファベーラに住む貧しい人々は共感し熱狂した。
アフリカ起源の宗教カンドンブレが精神性の根底にあるブラジル文化。
その一つはサンバであり、カポエィラであり、Racionais MC’sが歌う
HipHopだ。肌の色が違うというだけで迫害される。
元々はアフリカにすんでいた先祖が
旧宗主国の利益のために無理やり連れてこられた。
その末裔が逃れようのない人種階層社会のなかで今でも苦しんでいる。
豊かな白人層、貧しい黒人層。どうしようもない黒人の「生きづらさ」を歌う。
それがサンバになりHipHopになる。

かつてブラジルでは奴隷制が合法だった。

宗主国の甘い飲み物のために
大量消費される砂糖。その原料をブラジルで大量栽培した。その過酷な労働を支えるために
アフリカから多くの奴隷が運ばれてきた。死ぬまで働かせる容赦のない重労働。
農場主の虐待。奴隷は人ではなく家畜や道具のように扱う。抵抗することを諦める奴隷が
いる一方で、労働に耐えかねて逃亡を企てる奴隷もいる。

時には農場主につかまり激しい虐待を受ける。逃げ延びた奴隷はジャングルに荒地に
コミュニティを作る。逃亡奴隷の街Quilombo(キロンボ)を構成する。
労働で殺されるくらいなら、リスクを背負ってでも逃げる。
逃げた先で同じ逃亡奴隷と繋がって生き延びる。

ブラジルの暗い歴史と現在の日本が重なる。


日本は自殺率が先進国トップ。
コロナ過も加わり女性や子供たちの自殺が急増している。
誰に相談もできず孤独に死を選ぶ。
働き盛りの男性の自殺率もコロナ以前から高止まりしている。
これが日本。

生活が苦しいのは自分が頑張っていないからだ。
生きづらいのは自分がしっかりしていないからだ。

小中高では一貫して、同じ尺度で振り分けし優劣をつける。
自己肯定感をつぶす教育。従順で物言わぬ労働者にするために。
その成れの果ての大人は、ただ消費して労働するだけの家畜になる。
言われるがままを受け入れる。お互い監視しあう同調圧力が広がる。
どうしようもない「生きづらさ」の中で
「そうなるように」作られたシステムに気付くこともなく
苦しんで死んでいく。出生率は低下の一方。いづれ日本国民は
居なくなるのではないか?明らかに「そうなるように」
コントロールされている。

生きづらいのは貴方のせいではない。

生きづらいのは貴方や貴女のせいではない。
辛かったら逃げていい。逃げた先で誰かと繋がり生き延びる。
そして自分本来の生き方に立ち戻り、自由で幸せな人生を選ぶ。

本当は私はどうしたかったのか?
どうありたいのか?
もう一度本来の自分自身にフォーカスする。
もっと自分らしく自由に幸せに生きていい。
同じ思いを持つ仲間と繋がってコミュニティを作る。
それがQuilomboになる。
システムに抵抗するのではなく、軽やかにすり抜けて
システムの隙間でしぶとく生き延びる。
これが日本におけるQuilomboraの姿。
「気付く」ことが最初の一歩になる。

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